食虫植物って、どんな植物?

「食虫植物」という言葉は分類学上の定義によるものではありません。生態的な特徴による名称で、おおよそ次の5つの条件を満たすものと考えられています。

虫を誘引する

他の植物と同じように食虫植物は自分で動き回ることができません。そこで目立つ花をつけたり虫の好む匂いを出したりして虫をおびき寄せます。これはパイオニアプランツ[リンク↓]としては特に重要なことになります。

虫を捕まえる

虫をおびき寄せたら捕まえなければ意味がありません。食虫植物の多くは葉を変形させた「捕虫器」で虫を捕まえます。ここでは捕え方(=捕虫様式)によって食虫植物を5種類に分類しています。

虫を消化する

は死ぬと自己消化したり他の微生物によって分解されて他の生きものの栄養になることもあります。それに対して食虫植物は自分で虫を消化します。食虫植物に捕まった虫を見ると外見はそのままということもありますが、これは食虫植物がタンパク質分解酵素で筋肉などのタンパク質をアミノ酸やペプチドに分解するためで昆虫の外骨格などは消化しないからです。そのため虫の外側は形を残していても中はスカスカになっています。

虫のからだから栄養を吸収する

吸収した栄養分は食虫植物の生長やより多くの種を作るために役立てられます。

吸収した栄養を生長に役立てる

普通の植物は栄養の多くを根から吸収していますが、食虫植物の根はあまり発達していないので、生長に必要な栄養を根から十分に吸収することができません。そのため、葉が形をかえて虫をつかまえるようになり、虫の体から栄養を吸収するようになりました。吸収した栄養は細胞の中へと、取り入れられます。

吸収した栄養を生長に役立てる

虫の体から吸収した栄養は、食虫植物の細胞に取り入れられ、生長に役立てられます。食虫植物は、種(種子)で増える種子植物の仲間です。取り入れた栄養は、花を咲かせる時や、子孫を残すための種をつくるのにも利用されます。

痩せた土地を開拓するパイオニア・プランツ

栄養の多くを根から吸収する普通の植物は、栄養の少ない土地ではうまく育ちません。その点、食虫植物は、つかまえた虫からも栄養を吸収するので、痩せた土地であっても育つことが出来ます。食虫植物が何代もわたって育つと、枯れた葉や茎が肥料となり、その土地の栄養は豊になっていきます。痩せた土地を開拓し、栄養豊にすることから、食虫植物は「パイオニア・プランツ(先駆植物)」とも言われます。

特徴1:痩せた土地を開拓するパイオニアプランツ

植物の生長=光合成には「炭酸ガス」「水」「光」が必要ですがそれだけで十分という訳ではありません。肥料として挙げられる「窒素(N)」「リン(P)」「カリ(K)」なども必要です。いくら水が豊富で日当りが良くても他の栄養がまったくないところでは植物は生きていかれません。食虫植物はこれらの元素を虫の体から得ることができるため他の植物がいない土地に進出することができるのです。これが開拓者=パイオニアと呼ばれる理由なのです。

特徴2:根の貧弱なものが多い

植物の根には「養分の吸収」「からだを支える」という大きく2つの役割があります。しかし、土地が痩せていて根から栄養分が吸収できないからこそ虫を捕まえるのが食虫植物。また湿地でからだを支える必要がないこともあります。そんなことから食虫植物は根の貧弱なものが多く見られます。

特徴3:花の柄が長い

食虫植物は虫からもらっていますが、他の植物と同じように花をつけて花粉や種を運んでもらって繁殖につなげていることもあります。そんな虫を食べてしまっては意味がありません。そこで虫を捕まえる捕虫器と花を離すために花茎が長くなっているものが見られます。

特徴4:植物同士の競争には弱い

虫を捕まえるのだから強い植物だと思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。誰もいない痩せた土地では自分だけが生育できるのですが、自分が開拓して土に栄養分が溜まってくると他の植物も生育できるようになっていまいます。そうなると後からきた植物との競争に負けてしまうのです。